村雨、白雨、走り梅雨、恋に似た雨
村雨
急に降っては止み、また降り出す雨
暮れて行くのを眺めていたあなたは
少し、憂いを帯びた瞳で
人生で何かを失った
ような思い
あなたの喪失を
私が静かに感じていることは
勇ましくあろうとする心を
解いてしまうかもしれない
でも
わざとではなくて
白雨
激しい雨に白く煙るような様子
きみは
走り去った
僕が呼ぶのも聞かず
大丈夫だから
そう言われてしまうと
僕は
その、白い腕を掴み
手繰り寄せることを
ためらってしまう
白く煙る雨のように
降り続くのは
悲しみではなくて
何年も忘れ
でも求めてきた
心を揺さぶる
その揺さぶりが激し過ぎて
その時が来たら
私はどうなるだろう
その時が来たら
僕はどうするだろう
長く
降り続く雨は
濃密に心を濡らし
恋とは
そんな
心を寄り添い
引き寄せ合うまでの
深く静かな時に紡がれ
長雨の前の走り梅雨のように
濃密に心を濡らして
考えて
戸惑って
でも
その時が来たら
その時が来たら
ただ、
僕らは
笑い合うだろう
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